⑨補充裁判員て?

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 休憩時間、携帯電話をチェックすると電話が入っていた。

 

「この電話番号はもしや……」

 

 掛け直してみると思った通り、息子の通う中学校からだった。

 

「息子さんの具合が悪いようなので迎えに来てください」

 との電話。

 こんな時に限ってこんな電話がある。

 

「実は裁判中で……」

 

 と事情を告げると先生の方がびっくりしてしまった。


「で、ではお父さまに連絡します」

 

 と即、電話を切ってしまいました。

 電話のやり取りを聞いていた裁判官が「どうしました?」と気遣ってくださる。


 「もしもの時は遠慮する必要はありませんよ」

 と言う。


 そのために補充裁判員がいる。


 途中、病気や事故でやむを得ず裁判に来られなくなった場合には、補充裁判員が後を引き受けることになります。

 

 では、補充裁判員はその時になったら裁判所に行けばいいの?
 誰ひとり欠けることがなければ最後まで裁判所に行く必要はないの?

 

 と思っていたら違うのですね。
 補充裁判員は最初から裁判員と共に法廷で裁判を傍聴することになります。

 では、裁判員と補充裁判員と何が違うのか。補充裁判員は、


 ※法廷で証人や被告に直接質問することができない。
 ※評議では意見を述べることはできない。
 ※評決に加わることはできない。


 とあります。


 ですが、裁判官から意見を求められれば評議で意見を言うことができます。


 今回の評議では、裁判員と同じように意見を求められていました。法廷での質問も直接はできませんが、裁判官が質問があれば私が代わりに聞きますよ。と必ず訪ねて下さっていましたので、裁判員とほとんど変わらないものでした。

 

 ただし、評決には加わることができません。

 

 評決の直前、

 

「ここで思う存分意見を言って下さい!」

 

 と裁判長に求められ、思いの丈を語っていらっしゃいました。

 

 

 

『もしもあなたに裁判員の通知がきたら ⑨』