⑫評議と昼食

証人尋問が終わると、裁判員から質問することができます。 実際質問される方もいらっしゃるようですが、休息の時間、裁判官が「質問したいことはありますか?ご自身でされますか?質問しずらければ私から質問します」と代わりに質問して下さいました。 さす…

⑪筋書のないドラマ

ミステリーは好きです。 無実の主人公が意地悪な弁護士や検察に証人尋問でじりじりと追い詰められるような法廷ものは観ていてモヤモヤしてしまうが、謎を投げ掛けられたら解きたくなるもの。 小説の場合、最後まで読めば事件の真相は解るもの。 ですが、現実…

⑩ちょっと休憩

評議の内容は秘密なのでお話しできませんが、休憩やお昼休みには裁判官の方々が雑談しながら色々と教えて下さいました。 『暴行罪』と『傷害罪』 違いがわかりますか? と裁判官のひとりに質問され誰も答えられない。 みんな首をかしげる。 「『暴行罪』とい…

⑨補充裁判員て?

休憩時間、携帯電話をチェックすると電話が入っていた。 「この電話番号はもしや……」 掛け直してみると思った通り、息子の通う中学校からだった。 「息子さんの具合が悪いようなので迎えに来てください」 との電話。 こんな時に限ってこんな電話がある。 「…

⑧事実は小説より奇なり?

「実際の裁判は淡々と進みますよ。『実は私がやりました!』なんてドラマチックなことは起こりません」 と裁判官が残念そうに首を振る。 そのように淡々と進んでいきます。 途中、休憩はこんなにあるの!? また休憩? というくらい間にちょこちょこ入ります…

⑦開廷

いよいよ裁判当日。 前日から大雪の予報。それまでは暖冬だったというのに……。なぜこの日に初雪。それも大雪なのか。 もちろん早めに出るが車はまったく動かない。大渋滞。 「もしも遅刻しても開廷時間をずらしますから、慌てずに来てください」 そう言われ…

⑥ 評議室へご案内

抽選当日のその後。評議の行われる部屋へご案内。 部屋には「12人の優しい日本人」のように大きなテーブルがどーんと置いてある。 部屋の隅にはロッカーが並び、テーブルとソファが置かれ、コーヒーとお茶。それから小さな冷蔵庫にも飲み物が用意されていま…

⑤ 裁判員と陪審員 有罪と無罪

裁判員といえば……。 ただいま公開中の映画『記憶にございません!』の監督、三谷幸喜 脚本『12人の優しい日本人』を思い出す。 こちらの作品はまだ裁判員制度が始まる前の作品。 もしも日本で陪審員制度ができたなら……。優しい日本人ならどうなるかをコミカ…

④抽選  

抽選に行くのに交通費は支払われます。 そして裁判員に選ばれたら、裁判が終わるまでの交通費、日当も支払われる。遠方から通うのは大変なのでホテルに泊まります。という人には宿泊費も支払われる。 日当は最高1万円。すべて後日こちらの指定した口座へ振り…

③呼び出し  

最初の『名簿登録のお知らせ』は普通郵便で届きますが『呼出状』は配達証明で届きます。 『〇〇地方裁判所』 あと二週間で期限が切れる……そんな年末に届くとは。 受け取りながら「うわぁ」と小さく声を出した私に、郵便配達のおじさんは俯いたままそそくさと…

②通知がやってきた!  

それは忘れもしない平成1〇年11月。どんよりとした曇り空の日だった。 買い物に出かけようと玄関のドアを開ける。うちは北玄関。ドアを開けると同時に冷たい風が吹きつける。 「さぶっ」 ふと郵便受けの封筒が目に入る。 レモンイエローの封筒。また何かのカ…

➀裁判員やりました  

「裁判員やったの」 知人に言うと、「ええーっ!! 本当にやった人いるんだ」 と驚かれます。 「樹里のようなところにも来るんだね。もっとちゃんとした人が選ばれるのかと思ってた」 失礼なことを言う人もいるものです。 でも、はい。私自身もそう思ってい…