⑥ 評議室へご案内

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 抽選当日のその後。評議の行われる部屋へご案内。

 

 部屋には「12人の優しい日本人」のように大きなテーブルがどーんと置いてある。
 部屋の隅にはロッカーが並び、テーブルとソファが置かれ、コーヒーとお茶。それから小さな冷蔵庫にも飲み物が用意されていました。


 裁判官は名札だが、裁判員は与えられた番号の番号札が置かれ、その番号に座る。

 そこで裁判の日程など説明を受ける。
 それからファイルが一冊ずつ。日程や白紙のメモ用紙が綴じられています。


「メモ用紙は裁判で自由に使って下さい。裁判が終われば誰も中身を見たりしません。そのまま処分します」

 とのこと。

 

 軽い自己紹介。自己紹介と言っても裁判の間、裁判員はお互い「番号」で呼び合います。プラシバシー保護のため、名前を言いません。


 私は5番だったので最初から最後まで「5番さん」です。
 年齢は20代から60代まで、ばらばら。
 裁判官も始終笑顔。優しく丁寧に説明してくれます。
 テレビで見るようなお堅い、近寄りがたい感じはしませんでした。

 後で裁判員の1人が「もっと怖い感じかと思ってたよね。裁判官て。七三分けで黒縁メガネで」って言っていた。

 わかる、わかる! 解るけど、いつの時代だよ。ってイメージですがな。

 

 担当する事件は『強盗傷害罪』 裁判員裁判は殺人事件など重い裁判と聞いていたので、比較的軽い事件でほっとする。
 ただ、被告は暴力団。証人も暴力団かまたは関係者だという。
 通常の裁判は4日程度だというが、今回は8日間。
 被告が無罪を主張し、証人が多いため長いのだという。

 それから裁判の行われる法廷へとご案内。
 そう、あのニュースで見るあの部屋。ただし、テレビで見るのは傍聴席からのものだが、入口は裁判官の真後ろ。そこから入り裁判員の席に着く。あの一段高い席ですね。裁判官と同列の同じ椅子。
 補充裁判員はこの席ではありません。
 裁判官の後ろ、入口の左右にテーブルが置かれ、ここに座ります。
 裁判員の長いテーブルには2人でひとつのモニターとメモ用紙が置かれています。
  気分が悪くなったら遠慮なくこのメモに書いて回してください。休息を入れます。と言う。
 ただし、一人でも欠けたまま裁判を行うことはできないので、その間裁判は中断されるとのこと。

 

 そんな感じで終わった抽選日。予定通りお昼前には終わりました。
 でも長~い一日に感じられました。

 

「では、来週月曜日。お願いします」

 

 建物から出ると、裁判員に選ばれた皆さん口々に「ああ~やっぱり当たっちゃったよ~」などと本音を愚痴る。
 皆さん同じような思いだったのね。


「じゃぁ、来週からよろしく!」と別れる。


 なんとかできるかも。そんな気分で家に帰る。主人や子供達にも「裁判が始まったら家事の手伝いよろしくね~」と緊張もあるけど上機嫌。

 


 そして月曜日。
 なんとその日は今年初の雪。それも大雪だった。

 こんなことまで大当たり。トホホ……。

 

『もしもあなたに裁判員の通知がきたら ⑥』