⑦開廷
いよいよ裁判当日。
前日から大雪の予報。それまでは暖冬だったというのに……。なぜこの日に初雪。それも大雪なのか。
もちろん早めに出るが車はまったく動かない。大渋滞。
「もしも遅刻しても開廷時間をずらしますから、慌てずに来てください」
そう言われていましたが初日から遅れたくはない。
ビル風に横なぐりの雪を受けながら、なんとか集合時間には間に合う。
9時30分に評議室へ集合し、スケジュールの確認。トイレ休憩。そして10時開廷です。
持っていくものはファイルとボールペン(裁判所から用意されたもので、どんな小さな備品にも裁判所と名前が貼ってあった。さすが細かいです)
それからブランケットも用意されていました。
裁判官たちがあの『黒い服』を羽織る。
「おお~」
と声が上がる。
何色にも染まらない。という意味で黒なのだそうな。(花嫁さんとは逆なのね)
思っていたより薄い生地。と思っていたらシルクだそう!? ちなみに書記官は木綿なのだそうです。(違うんですね)
ちなみに裁判員は特に決められた服はありません。スーツでなくても普段着でOK。ジーンズにスニーカーの方もいらっしゃいました。
ドアの前で番号順に並びます。
裁判長に続いて入場。
ちょっと緊張です。
抽選日に見た光景とは違う。被告。被告の横には警察官。検察官。弁護士。書記官。そして傍聴席にも人が。
被告は法廷に入る前までは手錠をかけていますが、法廷では外されます。
ドラマでよく見る光景。
でもドラマではないのですね。徐々にこれは現実なのだと実感がわいてきました。
被告が証言台の前に立ちます。
被告は元暴力団組員。事件当時は暴力団組員です。
本人確認をし、検察官が起訴状に記載された罪状を読み上げます。そして罪状認否。
被告は「無罪」を主張しました。
そして冒頭陳述。
よくドラマや小説では専門用語が多く使用されますが、非常に解りやすいものでした。
これは裁判員制度になったからなのだと思いますが、誰にでも解る言葉で、質問を必要とするようなことは今後もありませんでした。
冒頭陳述も、これはひとにもよるのでしょうが、検察官から渡された資料は人物相関図や箇条書きで解りやすく書かれ、裁判員への配慮を感じました。
『もしもあなたに裁判員の通知がきたら ⑦』